「クレイジーサマー」



横浜から来たという初対面の男性三人組と、カラオケ、スープカレージンキスカンを楽しむ、という、ガードの堅い私にとってはまさかまさかの展開に…。

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友人アサコと2000円で二時間飲み放題(料理込み)を楽しんだ後、いつもの如くふらりふらりとカラオケ店を目指す。「この前会社の二次会でカラオケ代4500円かかってさ…安い店のはずだったのに。」とぼやく私に、「そういうのはちゃんと最初から価格交渉しなきゃダメなんだよ!」と本気で説教を始める酔っぱらい女・アサコ。「お姉さーん、すみません!」。アサコはカラオケ店の客引きの女の子をつかまえ、「800円まで安くして!あと枝豆もつけて!」と図々しくせがみ始めたので、私も「頑張って!お姉さん!」なんて一緒に悪ノリをしてみたりする。
「しょうがないなぁ…それでもうぎりぎりですー。それで決まりにして…店まで行きましょう!」。「やったやった!行きます行きます!」。五分間ほどのねばり強い交渉を制してキャッキャッと喜んでいると、「いいですね、カラオケ行きますかー!」。「???」。ふと顔を見上げると、見知らぬお兄さんが「話もまとまったところだし、一緒にカラオケ行きますかー。」。私たちに声をかけていた。「あはははは、行きますかー。」。ただのジョークだろうと軽くノリだけ合わせて、そのままカラオケ店を目指したのだけれど、そのまま男性は後をつけてきていた。「行きましょう行きましょう。」「!!!」。
男性は他に連れが二人いて、そのうち一人は人の良さそうな中年男性で、「あははは、いいねいいね」と軽いノリ。後一人は温厚そうな若い男性で、事態をよく飲み込めぬまま困惑した顔をしていた。皆悪い人ではなさそうだし、どうしようにも断り切れない。もうどうにでもなれ、と一人腹を括ってアサコを見いやると、「どうすんのよ…」と未だ納得のいかない顔付きのままだった。しかしながら一番焦っていたのはなぜかカラオケ店の店員さんで、「本当に大丈夫ですか…、本当に一緒で大丈夫ですか…、別々の部屋にご案内しましょうか…」と言う言葉を連発させている。そこまで心配されると、これはとんでもないことなのだろうか、と逆に不安になってしまう。
「いや…どうしても嫌ならもちろん帰りますけど、別にいいじゃないですか」。最初のノリと裏腹に、落ち着き払った男性陣の言葉に、「まぁそうだよな。」と納得し、「じゃあ一緒に楽しみますか」と結局二時間カラオケをご一緒する流れに。

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なんだかんだで普通にわははと歌を楽しみ、カラオケ店を出ると、「明日はスープカレーを食べる予定だから一緒にどうですか」「いいところ案内して下さいよ」とのお誘い。なんだか楽しくなってきてしまったので「いいですね、行きましょうか!」と、友人アサコの意見を無視して乗ってみる。

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それで翌日も普通にスープカレーをご一緒し(人気店だったので、一時間近く並んだ)、風が気持ち良い日だったので、テレビ塔下のビアガーデンで昼からビールを飲む(札幌なのでサッポロクラシック)。別れを惜しみつつ、〆により一層北海道らしさを満喫しようと、ジンギスカンととうもろこしとじゃがバターをオーダーして皆で少量ずつつついた。
今回のサプライズは、アサコと男性陣の中の若手(癒し系)が全く同じ生年月日だったということと、アサコがカラオケ店からマイクを自宅へ持ち帰ってしまったということ。最後の最後に皆へ「実は昨日…」と鞄からマイクを取り出しカミングアウト、「オレそんな奴見たことねーよ」と大爆笑の中、皆でマイク片手に記念撮影をし、お開きすることとなった。
楽しかったな。

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今年もビアガーデン行けなかったなぁ、と思っていたけれど、思わぬ形で、夏の終わりギリギリに思い切り満喫することができた。人生、何が起こるかわからないね。
今度は私も、横浜まで遊びに行きたいなぁ。