「わぁ、綺麗な花壇!」。
散歩中、まるで花畑のような近所の花壇に見とれて歩いていたら、「摘まないと枯れてしまうから、持って行ってよ」なんて、たくさんの花々を頂いてしまった。
 
ラベンダーに黄色とピンクのバラ、アクセントにアップルミントの葉。「適当に摘んだだけでも、立派なブーケみたいになったね。」「本当ですね!」。
帰って早速玄関に生けた。鮮やかで、とても存在感がある。

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その奥さん一家も犬を飼っていて、散歩中に犬同士が戯れることもあったため、軽く顔見知りの仲ではあった。
その後日、犬の散歩中に家の前を通ったとき、「ああ、こんにちは」「暑いですね」「ああ!スイカが余っているから食べて行ってよ!」「…えええ!」…。図々しくもお邪魔をして、スイカを頂きながら3時間近く話し込む展開になってしまった。

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色々な話をした。先の地震の話、最近の子供の話、私の近況について、奥さんの趣味や旅行の話、家族の話…。奥さんは昔高校教師だったらしく、予想以上に博識であった。
何でも、彼女の娘さんも一度仕事を辞めた後、アメリカの大学院で博士課程を修了し、関東の教育機関で指導者として活躍しているらしい。語学学習中に滞在していたニュージーランドへ旅行に行った話、やはり花が好きなので花屋で実際に働いてみた話や趣味でドライフラワーリースを作り、販売したり教室を開いていた話…。

色々やりたいこと思うことがあっても、環境なり体調なり、条件が上手く揃わず上手くいかないわね、なんてことも奥さんは終始こぼしていた。トピックだけかいつまんで聞くと、十分すぎるほど充実している人生のように感じるのに。娘さんが結婚しないことなどが、ずっと悩みの種らしい。
近所に住んでいても、人生や考え方って人それぞれだね。
そして最後の最後に発覚したのは、目の悪い奥さんは、私のことを私の母(50代)だと勘違いして部屋に招き入れた、という事だった!「今日は三つ編みに帽子なんてかぶって、若作りだわ〜とは思ったのよね…」。確かに、何で20代の私を家に招き入れるのか、私も奇妙には思っていたけれど。