2008年度私的ベスト

一月も終わるというところで!まとめておくと後々自分のために役立つので、今更ながらも一応。


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  • コスメ部門:スティーブンノル「ハイドロリニューミスト」

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ヘアケアに本腰を入れ始めた下半期。まだまだ髪は傷んでいるが、コレは潤いが増す。ケラスターゼのオレオリラックスなんかも一緒に使っているが、本当にチャージが必要なのは油分よりも水分だと聞くとこれの恩恵の方が大きい気がする。ふわっとした髪質が好みの人におすすめ。


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  • 書籍部門<新書>:泉谷閑示『「普通がいい」という病』

専門分野の本をそっちのけ、「心理」に関する本をたくさん読んだ下半期。ユング人格障害アイデンティティ…そして最終的に腑に落ちたのはこの本。

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

新書にありがちな妙にキャッチーなタイトルでうさんくさく感じたが、右にならえして主体的に生きないという「普通がいい病」が主題なわけではなかった。むしろ、そういう多数派の中で「普通」に染まれないことを思い悩む人を対象とした本だと思う。社会や周囲の人間と自分とが齟齬をきたした時、その苦しみをどう捉え、どう乗り越えるか―この手の本だと、精神科医が著者であればなおさら「抑圧された過去の傷を癒せ(これはさすがに時代遅れか)」「ゆがんだ思考を取り払え」というアドバイスに収束しがちだ。しかし、著者はニーチェ、聖書、仏教思想、国内外の文学等々…、様々な思想・哲学を根拠に用いて自己形成の方向性や、心の在り方、愛・自由の捉え方について理論展開を試みている。広範な文献・知識を一つに結び合わせた著者の洞察力には本当に頭が下がるし、そのように提示された「生きる指針」は説得力があり、普遍的に思える。私自身納得するところだった。頭・理性による「善・悪」「正・誤」等の二元論的思考が苦しみや過ちの根源だという見地が一貫したベースとなっているが、それは自分らしく生きるヒントとしてはもちろん参考になるだろうし、争いの絶えることのない社会においても大変有益な洞察であると思う。社会を向上させる手法を探求する前に、一人一人がその事実に気付くことが諸処の問題解決には必要なのではないかと思う。…って言うと、私の専門分野とはつながらないのだけれどね!


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小説はほとんど読まないけれど、とある本のブックリストからそのまたとある本のブックリストへと「読書サーフィン」している末に辿り着いた本。「絶対!」と強くレコメンドされていたし、たまたま母の書棚にあったので手に取ってみた。

星に願いを (講談社文庫)

星に願いを (講談社文庫)

私が生まれた頃に出版されたもだから時代錯誤があるかと思いきや、そうでもない。人の感情とは根本的には普遍なものなのかもしれない。小説とは言えど著者自身をモデルにしたものであるため、心理描写が非常にリアルだ。普段うんうん唸っていても詳しくひもとけなかった感情がここに表現されていて、「そうかぁ!」と感じることが多々あった。現実の捉え方と理想の持ち方、男に対するアティテュード等々…これらはいつも複雑なファクターが絡み合って成り立っているからだろうか、一貫した思いや行動をとるのがなかなか難しい。あまりに人間らしくドロドロしていたり青臭かったりする部分から目を背けているからこそ、本心がぼやけてしまいうのかもしれない。この本ではそんな部分も巧みに描写されていて、非常に興味深かった。内容と合わせれば、「憂鬱はまさにそう!凪いだ情熱だ」という堀込兄の歌詞(というかジッドの一文)を思い出した。最初、主人公キリコが平凡で良いと思って暮らしてきたのは情熱が凪いでいたからであり、後になって多くを勝ち得たのは「無欲の勝利」ではなく自身に渦巻く野心や大きな欲望ゆえのこと。最後は成功した後に残る虚しさを描いて終わっているが、この後彼女(というか著者本人)はどう心境を変えていったのかが気になるところ。

「しかし、自分の求めていたものとはいったい何だったのだろう。」「なんと色々なものを手に入れてしまったのだろうとキリコは思った。それなのにどうしてこんなに淋しいのだろうかとキリコは思った。」「求めるものがさらに大きくなった人間の悲しさなど、誰にもわかるはずがないのだ。」「自分はこれから一生、手のとどくはずがない星をとろうとあせる人間になるだろう。キリコはぼんやりと予感した。」 


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  • 書籍部門<生活>:小嶋ルミ『美味しい!生地』

おいしい!生地―スポンジ、パウンド、シフォン…焼きっぱなしで極上に

おいしい!生地―スポンジ、パウンド、シフォン…焼きっぱなしで極上に

お菓子作りに目覚めた一年。これまでは混ぜ具合や焼き具合等々「どの程度まで」という点がよくわからなくて失敗することが多かったけれど、この本はストイックなくらいに事細かに記してあって勉強になる。大真面目にやるとお菓子作りは化学系であり、体育会系だ。材料、器具、工程全てに化学的な理由が存在しているし、全てに従ってやろうとするとなかなかの体力を要する…そこが楽しいのだけれど。結局数えるほどしか作れなかったのが悔しいところ!
そういえば去年末には、
 
 
本だけではゴールがわからなくなったので、わざわざ「本物」をお取り寄せ(笑)。較べてみると私はいつも焼きすぎだったらしい…本物のシフォンケーキは美しく、フワフワした感触がぬいぐるみみたいで何だか愛らしくさえあった(シフォンケーキに愛らしさを感じた自分に疑問!)。どれも粉、バター、砂糖の風味が豊かで本格的だけれど、どこか家庭的な素朴さも残る味。オーダーした中では特にバニラパウンドが絶品。バターの風味はしっかりしているけど、生地はパウンドケーキじゃないみたいにふんわりしていて…その熱心な研究開発に脱帽。私もまた時間を見つけて作りたいなぁ。


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Summerin'

Summerin'

夏にかかわらず、秋も冬も聞いている。「夏の煌めきを表現」している点で好きなのかと思っていたが、「土岐さんの生み出す煌めき、雰囲気」自体に魅力を感じているのだなぁ、なんて季節を通すことで実感。昔は彼女の生み出す雰囲気を好んで聞くことが多かったけれど、最近は「歌い手」として彼女を選んでしまう!『Debut』から較べると歌唱がこなれてきた気がする。去年見たベストライブも土岐さんかな。フリーライブだったけれど、歌がじんわり染み入って良かった。ワンマンで来て欲しい。
書籍に比べて音楽が薄いけれど、去年は昔からよく聞いているものばかりをセレクトして聞いていたなぁ。


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今までで一番長いエントリーかも?!今年は何に心動かされるのか、どきどき。