「きっと彼女は涙をこらえて 僕のことなど思うだろ」

演劇鑑賞。
見る前から、「秩序もなにもないお話で、見終わったら世界観が変わるよ」とは聞いていたのだが、うーん、難解すぎてもう序盤からほとんど意味がわからない状態。それでも、周囲の皆が絶賛している劇団によるものだったから、ああ、私の頭が悪いだけかしら…なんて思って、一応一生懸命食らいついてみる。
今回はテラヤマシュウジ原作の作品で、母娘の関係が中心に描かれているものだった。衣装も台詞も演技も、全てが異様な雰囲気なのだが、本質を取り出して味付けしたら確かにこうも描けるかも?と思う。というか内容理解できないなんてみっともないかなと思って、なんとか無理矢理そう解釈。平たく考えると、母娘の依存関係だとか、心理学でもよく研究されているテーマに落とし込めそうだし、その母娘お互いの苦悩の表現としてはとても芸術的であり、演技にも鬼気迫る迫力があった。
しかし終演後に話を聞くと、今回のは特別ぶっとんでいたらしい。皆よく内容を理解しきれてなかったようで、「あんなこと考えて悩む人っているのかね〜」なんて話になる。皆この劇団が好きなのは、ああいう思考があってのことなのかななんて考えて一人喜んでいたため、実はそうではないということを知って少し寂しくもある。
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見終わった後、渋い居酒屋で軽く一杯。修論執筆中の先輩二人との席だったので、話が自然とアカデミックな方向になる。とても面白く勉強になったけど、知識の薄さが露呈して、ここでも自分の頭の悪さをまた気にしてしまう。在籍一年分から生じる違いであれば助かるが、なんとなくそれだけの問題ではないような気がする。過去から現在までの学問に対する姿勢が、私と彼らでは違ったのではないか。果たして、今からでも遅れを取り返せるのであろうか。
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帰り道、いちょう並木のセレナーデから流れ星ビバップのインストにかけてが、妙に胸にくる。「あの時のあれはこういうことだったのかなぁ」なんて過去の出来事の再定義ばかりをしてしまうのは、もの寂しい秋だからなのかなぁ?何よりも自分の想いが、わからないな。